花粉症の仕組みを医療関係1次ソースから超わかりやすく解説する

ある物質に対して、体が過敏な拒否反応を示すのをアレルギーといいますが、中でも、スギ花粉によって引き起こされるアレルギー性鼻炎(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)やアレルギー性結膜炎(眼の痒み、流涙)等を総称として、俗に花粉症といいます。アレルギー性鼻炎は、スギ花粉以外にも、ブタクサやカモガヤといった植物の花粉、ダニ、ハウスダスト(家のほこり)、カビなどでも起きます。頻度の高い原因物質でも10種類位あり、1年中遭遇する可能性があります。また、クーラーのついている部屋とそうでない部屋を行き来するだけで、くしゃみや鼻水が出てしまうような、気温の変化に追従できない血管運動性鼻炎と呼ばれるタイプもあります。治療をするにあたり最も大切なのは、「自分が何に対して、どの位の強さのアレルギーを持っているのか」を把握する事です。そして、まず、アレルギーを起こす物質から回避するのが、治療の第一歩になります。
 

検査について

  スギ花粉症があり、5月を過ぎてもまだ症状が続く場合には、カモガヤのアレルギーもあるかもしれませんし、秋口にも症状が出る場合には、ブタクサのアレルギーがあるかもしれません。冒頭に記したように、「自分が何に対して、どの位の強さのアレルギーを持っているのか」を把握する事は、とても大切な事です。また、個人の体質を知る、という事は、治療をする側にとっても、とても助かるのです。例えば、スギ花粉症の患者さんが血液検査を行いアレルギーの程度が弱い事が把握できているとすると、花粉の飛散量が少ないのに症状がおさまっていない場合には、現在服用している薬は効いていない、と判断できるからです。アレルギーの原因物質を調べるには、大きく分けて2つの方法があります。一つは、腕などに、一般的にアレルギーを起こしやすい物質を各種、ごく少量注射し(針で傷をつける方法もある)、15分後に、赤く腫れるかどうかをみる皮内テスト検査と、もう一つは血液検査です。皮内テストは、一度に沢山の種類の物質について調べられ検査代もあまりかかりませんが、強いアレルギーを持っている方の場合には、全て反応が出てしまい、正確でない場合があります。また、検査後かなり痒く、不快を伴います。血液検査では、正確に、その強さまで把握できますが、検査代がかかるのと、結果がわかるまで数日を要する欠点があります。当院では、希望者に血液検査を行っていますが、検査代は、頻度の高い8種類について検査した場合、¥4260です。  

治療法

  民間療法も含めると膨大な数になりますので、ここでは、ごく一般的な治療法についてのみ説明いたします。

抗原からの回避 ‥‥‥ スギ花粉にだけアレルギーがある患者さんは、春先以外の季節に症状が出ません。これは、スギ花粉が飛んでいないからで、つまり原因物資:抗原に接しなければ、アレルギー性鼻炎は起きないという事です。もし、ダニやハウスダストのアレルギーがある方の場合には、畳やカーペット、ベッド、ぬいぐるみ等の掃除をまめに行えば症状が軽減します。地味なことですが、まず「抗原からの回避」が基本です。

薬物療法 ‥‥‥ 抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、注射、各種点鼻薬などによる治療法です。現在、かなりの数のお薬がありますが、それぞれ利点、欠点がありますし、服用する人との相性もあります。例えば、ある患者さんでAという薬がとても経過が良かったとしても、他の人には眠気が強く、効果も今一である場合などです。当院では、私自身(院長)がアレルギー性鼻炎があるので、全ての薬剤を試用し、効果と副作用を確認した上で選別し、処方しています(花粉症の時期に、私がくしゃみをしていたら、新薬を試していると思って下さい)。注射は、アレルギー性鼻炎を軽減するものが主ですが、中にはシーズン前に1度注射をすればOK、という 「予防注射」 と称する治療があります。これは高濃度の特殊なホルモン剤を使用するもので、生理不順、注射後の皮膚変形など、さまざまな副作用がおき る場合がありますので注意して下さい。この注射は、以前から日本耳鼻咽喉科学会でも行わないよう警告しておりますし、当院でも行いません。


花粉症の“予防注射(ケナコルト)”による副作用の例  (21歳 女性)

 - 凹みを伴った大きなアザとなっていて、着る服も制限されてしまっている -

 

減感作療法 ‥‥‥ アレルギーの原因物質を極めて薄い濃度から少しづつ注射し、抵抗力をつける治療法です。ダニなどの通年性アレルギー(1年中症状があるアレルギー)の方や、喘息もある方 、もしくはスギ花粉症を徹底的に治療したい方などが対象になります。週1~2回の通院(注射)で、維持量に達するのに、4ヶ月くらいかかりますが、一旦維持量に達してしまえば、月1回の注射で済みます。当院で最も成績の良い治療法で、投薬無しでも、ほぼ症状が抑えられている患者様が多数いらしゃいます。情熱と根気のある方は、是非試みて下さい。ただし、注射を止めて しばらく放置しておくと、体質は元に戻ってしまいますので、この点に注意して下さい。

手術療法 ‥‥‥ 手術で鼻の粘膜を一部除去したり、鼻の粘膜にレーザーを照射し、アレルギーを起こす場を減らそうという治療です。レーザー治療については、問い合わせが多いので、別途詳細を下に示しました。

  治療効果の判定は慎重でなければなりません。花粉症の場合には、毎日の花粉の量や、生活環境(例えば昼間 外で仕事が多く、他の人より多くの花粉に暴露する等)で大きく左右されます。これらの事を冷静に客観的に判断しないと正しい判定はできません。新たな治療を試みた年が、たまたま花粉の量が少ない年であったのに「これは素晴らしい!」と判断されてしまったケースや、最終的な効果の判定が、すでに花粉が飛散していない頃になされたために、最後にはとても良くコンロールできた、と判定されてしまったケースに遭遇する場合があり、注意が必要です。くどいようですが、「自分が何に対して、どの位のアレルギーをもっているのか」、「抗原:アレルギーの原因物質と、現在どの位接しているのか」、そしてその結果、「現在、症状がどうなっているのか」、という事をふまえて総合的に判定しなければならないのです

 

皆既月食 (2011年12月10日)   ©Y.KOSEKI

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レーザー治療について

  鼻粘膜にレーザーを照射して鼻のアレルギーを起こす場を減らし、また、鼻粘膜のアレルギー反応を鈍くしようという治療です。花粉症の場合には、花粉症のシーズン前に治療を終了しておくのが理想です。1年中アレルギー性鼻炎で悩んでいらっしゃる方や、花粉症のシーズン中、症状がつらくて全く仕事にならない方、お薬の服用を減らしたい方が対象です。しかし、治療成績が良く、通常、副作用が無い事から、通常のアレルギー性鼻炎の方にも普及してきている治療法です。レーザーにもいろいろありますが、術後の出血が無く、無痛で照射できる点から、当院ではCO2 レーザーを採用しております。特に、鼻づまりのある症例には効果は絶大で、臭いの回復や、いびきの軽減にもなる利点があります。

  *注意: レーザーは、CO2 でなければいけない、という事はありません。大切な事は、術者がいかに使いこなしているか、という事であって、どの機種を使用しているか、という事ではありません。

  


照射前:鼻の粘膜が腫れ上がり   照射1月後:鼻腔にすきまが形成

鼻から全く呼吸ができない      され、楽に呼吸ができる 

  照射すると、反応性に鼻粘膜が腫れ、鼻水、くしゃみが数日続く場合がありますが、多くは1週間以内におさまります。起こりうる副作用としては、術中の痛み、術後の出血、鼻粘膜の過度の萎縮、鼻涙管閉塞による流涙、鼻粘膜の癒着などが考えられますが、当院では、ほぼ無痛で照射できますし、術後の出血や、他の副作用は、現在までのところ経験しておりません。過度に照射を繰り返すと鼻粘膜が萎縮し、鼻の中にカサブタを形成し易くなって、かえって鼻がつまる可能性が考えられますし、未熟な医師が誤って鼻涙管を傷つけてしまうと、流涙が続くかもしれません。また、照射後、通院をおろそかにすると、鼻粘膜が癒着してしまう可能性がありますので、注意して下さい。照射後、臭いが鈍くなってしまうのではないか、との質問を時々受けますが、臭いを臭いを感じる嗅裂部と照射する下甲介とは、場所が離れていますので、その副作用は、ありません。なお、レーザー治療の効果は、永久的なものではなく、個人差や施設によっても異なりますが、約1~3年位です。現在、アレルギー性鼻炎のレーザー治療は保険適応が認められておりますので、通常の医療機関では、以前のように何万円もかかることはありません。当院の場合、総計.¥9170です。当院では、基本的に両側同時に1回照射し、必要に応じて追加照射しています。治療後、数回の鼻処置(通院)が必要です。遠方の方や、照射後当院に通院が難しい方の場合には、当院での照射治療後に、お近くの耳鼻咽喉科をご紹介致します。まず初めに当院の一般外来を受診していただき、診察後、レーザー治療の予約を取っていただくようにしております。なお、レーザー治療は、平日の診療時間にも行っていますので、受診時にお問い合わせ下さい。

   *注意: レーザー治療は、あくまでも鼻の症状を軽減する治療であり、永久的に完全に症状を無くしてしまうものではありません。効果には、個人差があります。花粉が多い日には、症状が出る可能性がありますし、眼の症状に対しては、点眼薬が必要です。ダニやホコリに対して強いアレルギーをお持ちの患者さんは、早期に再発してくる可能性があります。 また、長期に渡り数多く照射するのは、まだ安全性が確立していない(治療成績が未定であるし、数多い照射は発癌性の可能性もあり得る)と思われますので、当院では、4回以上の照射は行っておりません。
   

当院の治療成績

 当院では、2000年10月開院以来、 約2年7ヶ月間に571症例(その後症例が増え、2016年1月現在で2453例)に対し693回のレーザー治療を行いました。症例の内訳は、重症例 51%、中等症例 35%、軽症例 6%、血管運動性鼻炎・その他 8% で、他施設からの依頼等で術後、経過の経過が把握できなかった症例は、検討対象からはずしました。症状がほぼ抑えられた症例は 59%、花粉が多い日に若干症状が出たが、通常は落ち着いていた症例は 38%、あまり効果が認められなかった症例は 3% でした。照射2年目の成績は、症状がほぼ抑えられた症例は 29%、花粉が多い日に若干症状が出たが、通常は落ち着いていた症例は 61%、あまり効果が認められなかった症例は 10% でした。また、3年目でも症状がほぼ抑えられた症例が 6例、花粉が多い日に若干症状が出たが、通常は落ち着いていた症例が9例ありました。あまり効果の認められなかった症例は、高度な鼻中隔彎曲症の合併例、粘膜の過敏性が極度に強い例、外での仕事が主で、花粉に暴露する機会が多かった例等でした。また、照射中、たまにピリッとごく軽度の痛みを感じた症例は 9%(照射への影響は無し)、全くの無痛であった症例は 91% でした。術後、出血があった症例は 0%、術後、鼻汁が増えた(途中で受診しなくなったため、その後不明)という症例が 1例、その他、副作用はありませんでした。今後、さらに症例が増えた段階で追加報告致します。
 *2016年12月末現在、2428例に行 いましたが、治療成績等は、ほぼ同様です。痛みに関しては、さらに、その頻度は低くなっています。

 

ラウンド・タワー (コペンハーゲン)   ©Y.KOSEKI

     

まとめ  (追加も含みます)

 1. 良い治療を受けるためには、血液検査を行い、何のアレルギーを持っていて、

   どの位の程度なのか、本人も治療する側も、しっかり把握する必要がある。

 2. 症状は、花粉の量(暴露する量)とアレルギーの重症度とのバランスが大きく

   影響する。

 3. レーザー治療は、花粉飛散の前に終了していなければならない(当院では12月

   に予約開始)。また、レーザー治療は花粉症の総合的治療の一環として行うべき

   ものであり、レーザー治療のみ行ってもコントロールできるものではない。

 4. 毎年、レーザー治療をするのは、鼻の機能の保持ならびに安全性の点から、

   医学的に薦められない(当院では、2~3年間隔で総計3回程度)。

 5. 花粉症の治療の第一選択は、内服薬である。減感作療法を除き、注射は、最近の

   優秀な内服薬にはるかに劣り、第一選択になる事はない。

 6. 内服薬を連用して、効果が薄れる事はない。もし、「初めは効いていたのに、だん

だん効かなくなってきた」という場合には、単に効果の無い薬を服用していて、

花粉の量が増えただけの場合が多い。

 7. その人に合った内服薬、点鼻薬、点眼薬を選択すれば、治療成績は大きく向上

する(薬は、すべて同じではない)。

 8. 患者の状態を把握し、症状が落ち着いていれば、1年以内に発売された新薬を

除き、1ヶ月程度であれば、まとめて一括して処方できる。

9. 花粉の量がピークの時期には、どのような治療をしていても、多少なりとも症状が

出る場合が多い。

10. 花粉症を根本的に治す方法は無い。治ったと思っていても、それは単にその年に、

   花粉に接している量が少ない場合がほとんどである。

11. 国は、まじめに日本の植林政策(日本中をスギばかり植林し続け、しかも放置)

ならびに大気汚染(特にジーゼル・エンジンの排気)の問題に取り組まなければ

ならない。

花粉症:レーザー治療外来

 

アレルギーって何?
花粉症対策のために知っておく目、鼻、口のアレルギー
花粉症の対策をたてるためには、まずアレルギーについて知っておく必要があるでしょう。アレルギーはいわば過敏症で、もともと体にとって不必要なものを排除するしくみが過剰に働いてしまうためにおこります。

花粉症はスギなどの花粉に対するアレルギー症状の総称で、花粉が主に体の「粘膜」に触れることで起こるアレルギーです。「粘膜」は体の中でも湿っている部分で、「鼻の中」「まぶたの裏」「口の中」などがそうです。最も外気に触れやすいそれらの粘膜に花粉が取り付くと、過敏な粘膜は過剰反応を起こし赤くはれて粘液を分泌します。それが「鼻水」「鼻づまり」「目の充血」「目のかゆみ」「目ヤニ」などの症状になるのです。

その他にも口やのどの渇き、食欲低下や下痢などの消化器症状を起こす方も多く、これは口や胃、腸の粘膜に花粉が触れることによっておこると考えられ、さらには思考力の低下や倦怠感、発熱などの全身症状をひきおこすこともあります。私自身も花粉症で、いつも1月の終わりから2月の初めの頃、風邪をひいた時のような全身倦怠感と微熱が出ますが、それが花粉症の始まりの合図と心得ています。

予防はどうすればいいの?
花粉症の予防は、とにかく花粉と触れないようにすることです。なので、その時期だけ花粉の飛ばない北海道や海外に移住するのが一番です。びっくりするくらい症状がよくなります。でも、現実的ではありませんね。花粉と触れ合う機会があれば、必ず症状が出てしまいます。それを少しでも軽くする、という意味での、予防のお話をします。

初期治療を始めましょう
花粉症対策(目・鼻・口)の薬
花粉症の症状が始まり、悪化してから治療を始めると、その分強い薬を使わなければいけませんし、良くなるまでには時間がかかります。最近では、花粉が飛び始める2週間ほど前から薬を使い始めるとシーズン中の症状が軽くすむことがわかっています。毎年症状のある方は、1月の半ば~終わりころの症状が出る前から点眼、内服を始めるのがお勧めです。当院では点眼だけでなく、内服、点鼻薬もお出しできるように準備しております。

メガネやマスクを使いましょう
花粉症対策(目・鼻・口)には眼鏡とマスク
花粉の飛入を防ぐためです。単純ですが、もっとも効果があります。ゴーグルのように周囲を覆うタイプが有効ですが、普通のメガネでも60~70%ブロックしてくれるといわれていますので、視力の良い方や見た目が気になる方は伊達メガネやサングラスでも良いと思います。風の強い日などは30分外にでるだけで、レンズにたくさんの細かい花粉の粒子がついてきますので、こまめにレンズをふき取ることも忘れずに。マスクはメガネが曇らないように、鼻の部分にスポンジパッドの入っているものがお勧めです。普段コンタクトレンズを使っている方も、この時期だけはできるだけメガネを使いましょう。レンズをつけている刺激がアレルギーを悪化させてしまいます。

目洗いは市販品でなくシャワーで
花粉症対策(目・鼻・口)の目洗いはシャワーで
それでも入ってしまった花粉は洗い流すようにします。外出先では、目にやさしい、防腐剤の含まれていない点眼(人工涙液)を使用し、帰宅後は入浴時に体中の花粉と一緒にシャワーで洗い流すのがお勧めです。シャワーヘッドを上に向けて、噴水状になったお湯の頂点に顔を伏せてまばたきすると、最もやさしい水流で洗うことができます。水道水の塩素を問題視する方もいるようですが、私はむしろ強い水流が悪影響だと考えているので、1日1回このやり方なら問題ないと思います。小さなカップをかぶせて目を洗う市販品は、目の周囲についている花粉も洗浄液の中に浮遊して目の中に入ってしまうのと、洗浄液が必要以上に涙を洗い流してしまうことを考えるとあまりお勧めできません。

ご家庭での対策
花粉症対策(目・鼻・口)の家庭での対策
患者様にお話を伺うと、ご家庭での花粉侵入防止の対策が意外におろそかになっている事が多いようです。実践できるかは各ご家庭のご事情にもよりますので、あくまでご参考程度に我が家の対策をご紹介します。 この時期は、帰宅してくると家族全員に頭から足まで入り口で花粉をはたき落としてから入ってもらいます。花粉は空気が動いている間は浮遊していますが、夜寝静まると床に沈んできますので、布団はやめてベッドにします。毎日の掃除機かけも必須です。窓開け、洗濯物や布団の外干しも極力控えてもらいます。花粉の時期は辛いですが、それが終わり、窓開けの解禁日が我が家には本当の「春の訪れ」で、その日はすがすがしい開放感にあふれています。

こすらず、冷やす
花粉症対策(目・鼻・口)・目を冷やす
それだけ対策を立てても、憎き花粉は完全には防ぎきれません。どうしてもかゆくなるときもありますが、そのときはこすらず、ひたすら我慢です。つらいときには濡らしたタオルや冷却材で冷やすと良いでしょう。うっかりこするとその刺激によりアレルギーは急激に悪化し、白目が水ぶくれのようにはれたり、ますますかゆくなるので注意が必要です。

それでもかゆくなる時は

点眼薬花粉症対策(目・鼻・口)の目薬ステロイド・抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬などを適宜組み合わせて処方いたします。

Point !:「ステロイド」はアレルギーの症状を抑えるのに非常に有効な薬です。通常、点眼薬でのステロイドは低濃度のものなので、正しく使用すれば副作用の心配はほとんどありません。中には眼圧上昇や色素沈着などの副作用を心配され、「絶対にステロイドは使用しない」とおっしゃる患者様がいらっしゃいます。しかし、ステロイドは古くからある薬で、どうしたら副作用を回避できるかもよくわかっていますので、むしろ積極的に使うべきだと私は考えています。少しでも不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。点鼻薬花粉症対策(目・鼻・口)の鼻薬ステロイド・抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬・血管収縮薬など、症状に合わせて処方いたします。内服薬花粉症対策(目・鼻・口)の飲み薬抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬などを処方いたします。副作用として、眠気が問題になることが多いので、患者様の身体への負担を考慮に入れ、相談しながら薬を選択いたします。また、漢方にも即効性のある、症状を効果的に抑える種類のものがあります。その方の症状に合わせ適切なものを処方いたします。 これまで花粉症に対して使っていた薬がある方は、受診時にその名称をお教えいただくか、お薬そのものをもってきていただけますと治療の参考になります。舌下免疫療法舌下免疫療法」は、現存する花粉症の治療で唯一「スギ花粉症を根治させる」治療です。「減感作療法」の方法のひとつで、花粉に対するアレルギーを獲得してしまった体にスギのエキスを少しずつ吸収させることで、体を花粉に慣れさせて、症状が出ないようにする、もしくは緩和する、というのが原理です。毎日1回服薬し、3年間継続する必要があります。その他にも条件や注意点がありますので、詳細はこちらのブログをお読みください。
私自身も花粉症で毎年大変辛い思いをしておりますので、花粉症のつらさは誰よりも知っています。今までの経験と知識を総動員して、それぞれの方にあった最善の方法を模索し、誠意を持って対処いたします。お困りの方はぜひ相談にいらしてください。当院では、点眼薬だけでなく、飲み薬や点鼻薬、漢方の処方、また根治療法である「舌下免疫療法」も行っていますので、今まで症状がなかなか改善しなかった方や、忙しくて耳鼻科やアレルギー科といった他の診療科を受診できない方、目だけでなく鼻にも症状が出る方もお気軽にお越しください。

www.k-eye.jp

 

花粉症の種類や発症の状況は、各地方の植物の種類や花粉の数によって
異なります。その患者さんの動向は花粉飛散とおおよそ一致します。最終
的には花粉症の患者さんの実数について、まだなお検討の余地が残ってい
ますが、厚生労働省の協力による全国調
査により国民のおよそ25%と考えられて
います。
花粉症は、花粉によって生じるアレル
ギー疾患の総称であり、主にアレルギー
性鼻炎とアレルギー性結膜炎が生じます。
花粉が鼻に入ると、直後にくしゃみ、鼻
汁が生じ、少し遅れてから鼻づまりの「即時相(そくじそう)反応」が生じま
す。このときの鼻の粘膜は、かぜに近い赤い色の粘膜の腫脹を起こします。
このため、初めて花粉症になったときには、検査をしなければ、かぜと間
違う場合もあります。
目に花粉が入ると早くから目がかゆくなり、涙が流れ、目が充血してき
ます。症状が強いときは、鼻で吸収されなかったスギの抗原成分が鼻から
喉へ流れ、喉のかゆみ、咳を生じます。また鼻づまりによる頭痛、鼻や喉
の炎症反応による微熱、だるさなどの症状に悩まされます。
家の中にいるときなど、花粉がない状態でも症状はありますが、多くは
花粉の繰り返しの吸入による鼻づまりの症状が主体です。これをアレル
ギー反応の「遅発相(ちはつそう)反応」と呼び、アレルギーの細胞から放出
されるロイコトリエンなどの物質が神経や血管を刺激するために症状が現
れます。鼻の粘膜の知覚神経が刺激されるとくしゃみが起こり、その反射
で鼻汁が出ます。鼻づまりは、血管の拡張と血管からの水分の放出により
鼻が腫れるために起こり、目のかゆみはヒスタミンなどが神経を刺激する
ために起こります。

症状が起こる時期は人によってさまざまです。花粉が飛び始めるとすぐ症
状が出てくる人もいれば、花粉がたくさん飛ばないと症状が出てこない人も
います。症状の強さも同様で、軽い人もいれば重い人もいます。その年に飛
散する花粉数によって花粉症の症状の強さが変わりますので、花粉の飛散数
が少ないときには、花粉症の症状が全く出ないこともあります(図1)。
現在、「鼻アレルギー診療ガイドライン」が作られており、その中では表1
のように軽症、中等症、重症、最重症の4段階に重症度が分類されていま
す。また症状もくしゃみ・鼻水がつらいタイプと鼻づまりが強くなるタイ
プに分けられています。
この分類は、その人の花粉症症状の種類や、強さを把握するもので、お
およその分け方を知っておくと便利です。この重症度や花粉の飛散数に応
じて、治療や予防のための対策をとることにより、花粉症の症状や、それ
による生活の質(クオリティオブライフ)の低下を軽減することができます。

 

クオリティオブライフ(QOL)は、日本では「生活の質」と訳される言葉で、
世界保健機関(WHO)は、「個人が生活する文化や価値観の中で、目標や期待、
あるいは基準や関心に関連した自分自身の人生の状況に関する認識」と難しく
定義しています。これは、物の数量的に満たされた現代社会において、“量よ
りも質を高めた生活を目指すべきであるという気持ち”を表しています。
当初、QOLという言葉は社会生活の向上のために医療以外の領域で用いら
れたのですが、近年では患者さんの声をくみ取るために、また治療の効果を評
価する基準のひとつとして、医療の現場でも活用されるようになりました。
ところが、QOLを評価する基準は個人個人で異なっているので、その判
断は一定ではありません。言い換えれば、10人いれば10通りのQOLの評
価が存在するのです。ですから、QOLを高めるためにはどのようにすれば
よいのか、QOLが高い診療とはどのような診療を行えばよいのかを考える
には、綿密な調査が必要になります。現在は、これらの問題を解決する方
法として「QOL質問票」を使用する方法が確立されています。
質問票は、数十の質問に回答することで、その人のQOLを数値化するため
のものです。質問票は世界中で検討されていますが、大きく分けると「ある
特定の病気にかかった患者さんについて知るための質問票」と、「特定の病気
ではなく、その人の健康の状態を広く把握するための質問票」があります。

 

われわれは「花粉症の患者さんについて知るための質問票」を検討して、
2003年に「日本アレルギー性鼻炎QOL標準調査票(JRQLQ No.1)」(表2)
を作成しました。今後はこの調査票を用いて、花粉症をはじめとするアレル
ギー性鼻炎のQOLを客観的に評価して、よりよい医療を目指していこうとい
う段階で、厚生労働省の研究班により調査が続けられています。現在までに、
花粉症では具体的に日常生活がどのように障害を受けるかが判明してきていま
す。花粉量が10倍になっても症状やQOLは2倍ぐらいしか悪化しません。

 

花粉症の約70%はスギ花粉症と推察されています。スギの花粉が多い
のは地球の温暖化も関係します。
北海道
沖縄
関東
東海
花粉症の約70%はスギ花粉症だと推察されます。これは日本の国土に占
めるスギ林の面積が大きく、全国の森林の18%、国土の12%を占めてい
るためでもあります。
北海道にはスギ花粉飛散は極めて少なく、沖縄にはスギが全く生息しま
せん。関東・東海地方では、スギ花粉症の患者さんが多く見られます。ヒ
ノキ科花粉による花粉症も見られますが、よりスギの人工林が多いのでス
ギ花粉が多く飛散します。山梨県では、ヒノキ科花粉が多く飛散すること
があります。関西では、スギとヒノキ科の植林面積
はほぼ等しいので、いまのところ、花粉飛散はスギ
のほうが多いのですがヒノキが多く飛ぶ年
もあり、4、5月にも注意が必要です。

 

スギの花粉は雄花の中で成長します。雄花は花粉が7月の初めごろから
作られますが、このころに日照りが続き、雨が少ないと、雄花のもとであ
る花芽がたくさんできます。
花芽は夏から初秋にかけて発育を続け、やがて雄花が完成します。そして、
雄花の中に花粉が作られます。花粉が完成するのは10月中旬です。スギの
成長の度合い、雄花の量から翌年のスギ花粉飛散予報がおおよそ決まります。
また、この頃から少しずつ花粉が飛び始めることも知られてきています。
年を越して暖かくなり始めると、雄花は開花して花粉が
一斉に飛び始めます。
世界的な温暖化の影響で、花粉飛散数も増加が予想
されます。気象庁によるシミュレーションでは、
関東のスギ林密度も増加する傾向にあります。

 

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000077514.pdf